ランデヴー II
するとモリケンは苦笑いしながら室外機の上に置かれた灰皿に灰を落とし、「つーかさ……」と口を開いた。



「お前に気にして欲しいんだけど」


「え?」


「別の女の私物とか……ちょっとはムッとしたりしないもんなの?」


「あ……」


言われて気付いた。


どうやらモリケンは、妬いて欲しかったらしい。



「なんてな。悪い、つまんないこと言った」


「うぅん。何か……ごめん」


「いや。お前の気持ちがまだ始まったばっかなのはわかってっから」


「…………」


モリケンの言葉に、返す言葉がなかった。



確かに。


今の私の気持ちは、まだ友達という枠を少し脱しただけなのかもしれない。
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