ランデヴー II
でも、モリケンの傍にいたい。


一緒に未来を歩きたい。



そう思ったから、付き合うことに決めたのだ。


その心に嘘はない。



ふぅ……と煙を吐き出すモリケンの隣で、シーンと静まり返った通りを見下ろす。


ここはマンションの3Fだから、そんなに高い場所ではない。


誰もいないひっそりとしたこの場所では、モリケンの吸う煙草がチリチリと燃える音だけがやけに響いて聞こえた。



「でも俺……」


そんな若干気まずい静寂を破ったのは、モリケンだった。


ふとその言葉に顔を向けると、部屋から漏れる光を背後に受けて微かに笑みを浮かべる姿がある。



「正直お前がこうして隣にいることが、まだ信じられなかったりするんだよなぁ」


モリケンはそうポツリと呟くと、灰皿に煙草をこすりつけて火を消した。
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