ランデヴー II
「え、なんで?」


「いや。何つーか……お前どっちかっつーと潔癖な方だろ?」


「どういう意味?」


モリケンが何を言いたいのか良くわからず、私は首を傾げた。


そんな私を見ることなく、彼は通りに視線を落としている。



「最初が最悪だったってことだよ。研修で佐田に手出したこと知ってんだろ?」


「あぁ……うん。確かに。あの時は最低だって思った」


「だよなぁ……」


「うん。でも……若気の至り、なんでしょう?」


クスッと笑ってモリケンの顔を覗き込むようにすると、彼も小さく苦笑いを浮かべて私を見る。


一瞬そうして見つめ合うと、不意に肩を抱き寄せられた。



「もう浮気は2度としねー。言い訳じゃないけど、あん時付き合ってた彼女とはあんまり上手くいってなくて、別れようと思ってたんだ。って……ほんと言い訳臭いな」


そう言って自嘲気味に笑うモリケンは、私を抱く手に力を込める。
< 47 / 408 >

この作品をシェア

pagetop