ランデヴー II
「ひゅー、モリケンかっこいい! てかやぁだ、『ゆかり』だって。もうごちそうさまって感じだわぁ。浮気すんなよ?」


「しねーって」


ニヤニヤ顔のみっちーにからかうように言われながらも、賢治は何事もなかったかのようにビールを飲み干した。


でも、横顔が少し照れているのがわかる。



「ゆかりはどうなの? モリケンはそう言ってますけど?」


「菅原、もうその辺にしとけよ。てか、マジ勘弁して……」


困り果てたように眉を下げて溜息を吐く賢治は、珍しく本気でみっちーに辟易している様子だった。


それがわかったのか、みっちーも「はいはい、わかりましたよー」と拗ねたように言いつつ煙草に火を点ける。


そして「そう言えばさぁ、今日ダーヤマがさぁ……」と、もう私達のことには触れずに、今日もダーヤマさんの愚痴をこぼし始めた。



結婚、か……。


このまま付き合っていくと、恐らく賢治とそういうことになるのだろう。



具体的に考えると、まだ少しピンと来ない自分がいる。


それはきっと、付き合い始めて間もないからということもあると思う。
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