ランデヴー II
でも――彼と結婚したらきっと幸せだろうと思った。


想像していたよりもずっと優しいし、一緒にいて楽しい。


まだ始まって2週間足らずしか経ってないが、何より安らぎを私に与えてくれた。


穏やかな日々……それが想像できる。



だが、私は気付いていた。


賢治を好きという気持ちに、何か情熱的なものが足りないということに。



恐らく結婚とはそういうものなのだろう。


毎日ドキドキしたり不安だったり、気持ちを揺さぶられるのでは疲れてしまう。


普通に好きで、普通に平穏で。


それが現実であり、ある意味理想でもあるのかもしれない。



きっとそれくらいが、ちょうどいいんだ。


まるで静かに流れる水に身を任せるように、そのまま進んでいけばいいんだ。



そう、難しく考えずに……。
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