ランデヴー II





12月も半ばを過ぎた頃、賢治の課が主催となって歓送迎会が行われた。



賢治がチョイスした海鮮居酒屋は、クリスマスシーズンということもあり大盛況だ。


だが早めの予約が功を奏して、私達はお座敷の一角を貸し切ることができた。


そこで私は賢治を手伝って、くじ引き係をしていた。



「席に着く前に、くじ引いて下さいね」


小さな箱を来る人来る人に差し出すと、「えー、くじかー」なんて言いながらも、みんな笑顔でゴソゴソと箱に手を入れる。


予めテーブルに並べた番号と、箱から引いた番号が同じ席に座るという、至極簡単なくじ引きだ。


なかなか盛り上がっている様子に、何だか笑みがこぼれる。


20名の部員の内18名が参加という、相変わらず出席率は良かった。



時期が時期ということもあり、この会は少し早めの忘年会兼歓送迎会ということになっていた。


佐原さんは「クリスマス会でも良くない?」なんてことを言っていたが、そこは却下だ。


そもそも歓送迎会がメインなのに、それでは何が何だかわからない会になってしまう。
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