ランデヴー II
「ねぇ、席1個多いよ?」
「あー、それ多分――」
「坂下、それ空けとけよ。サプライズゲスト呼んだから。ちょっと遅れるって言ってたし、先に始めようぜー」
賢治の言葉を遮って、佐原さんが浮かれた様子でそう答えた。
片手には既にビールを持っていて、乾杯が終わってないのにもう飲んだんじゃないかと疑いたくなる。
そんな疑惑の眼差しに気付いたのか、佐原さんは「まだ飲んでねーよ」と口を尖らせて、ジョッキをテーブルにドスンと置いた。
「そういうことだから、気にすんな」
佐原さんの相変わらずな振る舞いにプッと吹き出す私に、賢治が苦笑いでそう言うので、私は頷いて席に戻ることにした。
サプライズと言うことは、もしかしたら役員の人かもしれない、と思う。
部長の上にはエリア単位で私達を管理する桂木さんという人がいるのだが、気さくな人で付き合いやすく、彼もお酒が好きだ。
でも呼ばれれば結構な確率で顔を出すし……そう考えると、今更サプライズというのも変だ。
だんだん考えることが面倒になってきた私はあっさりと思考を手放し、再び座布団の上に落ち着いた。
「あー、それ多分――」
「坂下、それ空けとけよ。サプライズゲスト呼んだから。ちょっと遅れるって言ってたし、先に始めようぜー」
賢治の言葉を遮って、佐原さんが浮かれた様子でそう答えた。
片手には既にビールを持っていて、乾杯が終わってないのにもう飲んだんじゃないかと疑いたくなる。
そんな疑惑の眼差しに気付いたのか、佐原さんは「まだ飲んでねーよ」と口を尖らせて、ジョッキをテーブルにドスンと置いた。
「そういうことだから、気にすんな」
佐原さんの相変わらずな振る舞いにプッと吹き出す私に、賢治が苦笑いでそう言うので、私は頷いて席に戻ることにした。
サプライズと言うことは、もしかしたら役員の人かもしれない、と思う。
部長の上にはエリア単位で私達を管理する桂木さんという人がいるのだが、気さくな人で付き合いやすく、彼もお酒が好きだ。
でも呼ばれれば結構な確率で顔を出すし……そう考えると、今更サプライズというのも変だ。
だんだん考えることが面倒になってきた私はあっさりと思考を手放し、再び座布団の上に落ち着いた。