ランデヴー II
私はグラスを持ったまま目を向けることもできずに、じっと固まっていた。


彼はそんな私の後ろを通ると、周囲から「おー、久しぶりだな-」と歓迎されながら隣に腰を降ろす。



「坂下さん、お久しぶりです」


そう以前と変わらぬ口調で言われ、私は観念して緩やかに顔を向けた。


その瞬間、熱い何かが心の奥底から込み上げてくる。



「久しぶり、倉橋君。元気そうだね」



私は、ポーカーフェイスを保つのに必死だった。


寒くもないのに震える手に気付き、テーブルの上にグラスを置く。


上がった肩の力を抜く為に、ふぅと息を吐いた。



こうして面と向かって会うのは、実に1年ぶりだった。


目が合うと、心臓がはち切れそうになる。



変わらない、憂いを帯びた綺麗な瞳。


緩くパーマのかかった、ふわふわな髪の毛。



こうして見ると、顔つきが若干男らしくなったかもしれない。


そもそも痩せていたが、少し頬の肉が落ちたような……。
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