ランデヴー II
半ば呆然としたようにその顔を眺める私に、倉橋君は軽く目を細めてクスリと笑った。



「大丈夫ですか? 飲み過ぎてないですか?」


いつもの倉橋君。


悲しい程に、私を見透かす倉橋君……。



「うん、大丈夫だよ」


私は目を逸らしてゆるゆると首を振ると、店員さんの呼び出しボタンを押した。


「ビールでいいよね?」と言いながら、自分のウーロン茶も一緒に頼む。



これ以上お酒を飲んだら、崩壊して倉橋君に余計なことを言ってしまいそうだったから。



――余計なこと、って……何?


まさか酔った勢いで倉橋君に絡む程、酒癖は悪くないつもりだが……。



とにかく私は、突然の再会にどう対応すればいいのかわからなくなっていた。


心の中はまるで台風に荒らされたかのように、ぐちゃぐちゃだ。
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