ランデヴー II
賢治の課にいる派遣社員の女性達は、普段はインプットがメインの仕事だ。


だが社内便やファイリングなど、部全体に関わる仕事も手伝ってくれていた。



部内全員がお世話になっていることもあり、彼女他達は色んな人達と何かしら繋がりがある。


特に倉橋君は力仕事などを積極的に手伝っていたこともあり、同じ部署にいた頃は結構打ち解けていたようだった。



彼は続いてその隣に座る大地さん達にも挨拶をすると、楽しそうに話し始める。


私はというと……さっきまでの勢いはどこへやら、話に入る元気は全くなくなっていた。



胸がしくしくと痛む……。


まるで治りかけていたかさぶたを、無理矢理ペリッと剥がされたみたいだった。



「ごめん、ちょっとトイレー」


たまらずそう言って立ち上がろうと、足に力を入れた時だった。


カクンと力が抜け、ぐらりと視界が歪む。



あぁ、もう完全に飲み過ぎだ……どうしてこんな時に私は飲み過ぎてしまったんだろう。


そう後悔する程に、私の足元はフラフラだった。
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