ランデヴー II
チラリと目を向けると、手前に座る川口さん越しにじっと私を見つめる倉橋君の瞳にぶつかる。


話を楽しむように口を動かしながらも、目だけは冷静に私を捉えていた。



再び揺さぶられる心から目を逸らすかのように、私はそこから顔を背ける。


気付かれた……?


私と賢治の関係に……。


それとも……。


そう心の中で巡る意味のない疑問を無理矢理片隅へ追いやると、私は残りの時間を賢治の隣で楽しんだ。



そうして大盛り上がりのうちに、会は進行した。


1年間の反省と、来年への抱負。


そして阿部さん、川口さんの挨拶、部長の挨拶。


恒例の一本締め。



その間中、私が再び倉橋君の方へ視線を向けることは、もうなかった。
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