ランデヴー II
「じゃぁ、また会社で。今日はお疲れ様でした」


「あぁ、お疲れ」


倉橋君は爽やかに笑って小さく頭を下げると、駅の方へと歩いて行った。


私はその後ろ姿を複雑な気持ちで見送る。



倉橋君と別れると何だかどっと疲れを感じ、それが体にお酒が残っていることを思い出させる。


気怠く酔った感覚に、ふぅ……と大きく息を吐き出した。



「何か……意味深だったけど。倉橋と付き合ってたんだっけ?」


「え?」


賢治にそう問われ、一瞬ぽかんとした。


私と倉橋君の会話は意味深だっただろうか。


2人の間では普通に繋がる会話だが、確かに私達の間にあった出来事を知らない人にとっては、そう感じるかもしれない。



「付き合ってないよ、何で?」


「いや、お前ら何年か前噂になってなかった?」


「あ……」


恐らく、倉橋君と2人で花火大会に行った時のことを言っているのか。
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