ランデヴー II
ラベルを剥がしてペットボトルをゴミ箱に放ると、私はコートも服も脱ぎ散らかしながらバスルームへと向かった。


もうすぐお湯がいっぱいになりそうなのを見て、体から先に洗い始める。


ふぅ……と大きく息を吐いて浴槽に浸かると、何とも言えない心地よさが張り詰めた心を柔らかく解きほぐしてくれるようだった。


だがそうしてじっとしていると、次から次へと倉橋君への想いが蘇る。


どうしてしまったんだろう……久しぶりに彼に会ったことで、封印していた記憶の檻が崩壊してしまったのかもしれない。



――あれから私は。


……何度も何度も自分を責めた。


惨めな自分が嫌で、情けなくて……。



本当に大切なものを、私は失ってしまったんだ。


私は恋をする資格がない人間なのかもしれない。


不倫なんかしてたから、きっと罰が当たったんだ。


そんなことを、ずっとぐるぐると考えていた。



でもどれだけ自分を責めても、どんなに悔やんでも、こんなにも育ってしまった気持ちはもう取り返しがつかない。


佐和子に電話して、全てを打ち明け泣いた。


胸が抉られるように痛くて痛くて……壊れそうな程に。
こんな気持ち、とてもじゃないけど1人で抱え込めそうになかったから。
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