ランデヴー II
そんな私に佐和子は驚きながらも、「しょうがないよ、しょうがない」と言って慰めてくれた。


いつものように自業自得だとキツいことを言われるかと覚悟していたが、意外と佐和子は優しかった。


私はその優しさに甘え、愚痴愚痴と後悔の念を吐き続けたものだ。



……それからの会社での日々は、まるで生き地獄のようだった。


すぐ隣にいるのに……毎日顔を合わせて言葉を交わすのに……。
もう気持ちすら伝えられない絶望感。


これ以上好きになっても苦しいだけなのに、想いだけが募っていく。



毎日倉橋君の所へ巻き髪を弾ませてやって来る前田さんを見るのが、辛かった。


2人が恋人同士として過ごしている時間を想像しては、胸が掻きむしられるような切なさに襲われた。


あんなに優しい倉橋君の眼差し、行動、全てが今は前田さんに向かっている。


そう思うだけで、胸が張り裂けそうだった。



でも、全ては私が招いたこと。


いつか佐和子に言われたことを思い出す。


『悔やんでも、もう遅いんだよ?』と。



あの頃の私は、まさしくその通り。


とにかく毎日を後悔の中で生きていた。
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