ランデヴー II





翌日――。



モニターに向かって仕事をしている時も。


隣の席の大地さんと、仕事の話をしている時も。


佐原さんにちょっかいを出され、雑談をしている時も。



私はずっと1つの視線を感じていた。


一挙手一投足を見守るかのような、じっとりとした視線。


ふとそれを辿ると今村さんから発せられているのは一目瞭然で、でも彼女は慌てたようにすぐ視線を逸らしてしまう。


……バレてないとでも思っているのだろうか。



痛い程に受ける視線は気分のいいものではなく、いい加減「どうしたの?」と聞いてみた。


そうすると彼女は「いえ、何も……」と、しらじらしく仕事をするフリで、何やらメモをとりながら否定する。



どう考えても見ていただろうと突っ込みたくなるが、私がそれをすることなかった。


何故ならチーフの榊原さんに頼まれた作業に追われ、余計なことに時間を割かれている場合ではなかったからだ。
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