ランデヴー II
私は少々戸惑いつつも、ここは正直に話すことにした。


今村さんは同じ職場の同僚であり、席も隣で毎日顔を合わせる仲間でもある。


もっと打ち解けられたら……そう思ったことは、1度や2度ではない。


そんな彼女から少し歩み寄られているような気がした私は、小さく感激していたのだ。



「うん……そうなの、付き合ってるんだ。でも、あんまり周りには言わないで欲しいんだけど……」


「い、言いません! そうなんですね、やっぱり……うわぁ、お似合いですね!」


「有り難う」


少し興奮した様子で素直な反応を返され、何だか嬉しかった。


私自身に興味を持ってもらえたことも、そして思い切って話しかけてくれたことも。


私はいい機会だと思い、以前から思っていたことを口にした。



「あのね、今村さん。私達歳も同じだし、もう敬語とかやめない?」


「え、いえ、でも……」


「せめて雑談する時くらいは普通でいいと思うんだけど、どうかな?」


「え、あ、はい……」


私の提案に、今村さんは困惑を隠せないようだった。
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