ランデヴー II
そして迎えた、クリスマス・イヴ。
私は定時で仕事を切り上げ、外で賢治を待つことにした。
さすがにこんなイベントの日に一緒に会社を出ると、怪しまれると思ったからだ。
現に、早々に会社を後にしようとすると、「何? デート?」とニヤニヤしながら佐原さんに声をかけられた。
「違いますよ」とやんわり否定して、それ以上突っ込まれないようにさっさとフロアを出る。
外に1歩足を踏み出すと、並木道にかけられた電飾が控えめにチカチカと光るのが目に入り、それがより一層私の気持ちを盛り上げた。
通りに目を移せば、誰もが浮き足立って見える。
それは、自分が幸せなクリスマスを過ごすことができるからそう思えるのだろうか。
去年まではクリスマスなんて私には関係ないと思いながら過ごしていたし、周りのこともあまり気にしないようにしていた気がする。
でも、今年は周囲にきちんと目を向けることができている。
要は気の持ちようなのだなと、少し不思議な気持ちになった。