アイツは私の初彼氏 ~バレンタイン編~
すると、チョコをつまんだ克幸はそれを私にはくれずに、自分で食べた。
「あっ、何だよ意地悪―――……んっ!」
そして、それを口移しで私の口に入れた。
つまり、キスされたんだ。
「……あのなっ」
私は思わず抗議する。
克幸はニヤリと笑うと、チョコをもう一つ取り出す。
「どうしたって、俺の勝手だよな?」
そう言って空いた手で私の顎をつかむと、チョコを放り込む。
そして今度は自分の口でそれを取り出した。
「―――に、二度も!」
「まだチョコあるからな」
私の非難にも、そう平気な顔をする。
な、何なんだよ。コレ!
普通はチョコ渡して終わりじゃないのかよっ!
3度目、4度目……。
食べる度に、それは深くなっていく。
チョコが無くなる頃には私はすっかり息があがっていた。