社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
「分からないな。俺は父親ではないからその立場が」
ほぼ予想通りの言葉が返ってきて、私は脳の中で待機してた言葉を返す。
「わっ、分からないですか…。拓斗さんはなんでそう思うんですか?」
そしてその返事が‘俺には子供が居ない’だったなら私は笑顔で拓斗さんにこう言う予定――、‘拓斗さんの子供居ますよ。私のお腹の中に小さいけれど居ます。だから拓斗さんはお父さんですよ’って。
なのに、
「いや、分かる事は分かる」
分かるって?
予定外の返答に身体が固まる。
「大事に育て守ってきた娘を嫁に出すのは複雑な心境だと思うが、自分に置き換える事が出来ない。現実味がないと言えばそうだが、もし優子が離れてくと思うとかなり辛い事だ」