社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
正直出て来た事は覚えているけれど、実家までの事はあまり覚えていなくて、ハッとした時には実家の玄関前に立ち竦んでいた。
「おーい、母さん。ちょっとこっち来てくれないかー?」
「えー」
「ちょっとでいいんだ」
襖の向こうでお父さんが、こっちこっちとお母さんを小さく呼びながら手招きをしてる。
もしかして私に聞かれると困る話しをしようとしてる?
だったら…
「お母さん」
「なに?」
「トイレ行ってくるね」
邪魔にならない為にも私がここから出よう。
私はそう言って立ち上がり襖に向かい、のそのそと歩く私を見たお父さんは眉尻を下げ歩き出し、私と入れ換わるようにお父さんがお母さんの横に座ったのを確認してゆっくりと襖の扉をしめた。