社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
「あ、あのね。お母さんには伝えたけど」
お父さんの目だけを真っ直ぐ見つめる。
「待って」
と、私のそんな言葉を遮るようにお父さんは口を開き言葉を発した。
待てばいいんだよね…?
そう思い私は口を閉じたものの待ってと言ったお父さんも口を噤んでしまった。
「――」
「――」
「――」
お父さんもお母さんも私も黙り込む。
ポタリポタリと、蛇口がゆるくなっているのか洗面台から水が落ちる音だけが脱衣所に響く。
私の実家は古いから、私が産まれる前に建ってるから蛇口だけではなく色んな所が老化している。
階段も一部はギシギシ音が鳴るし、私の部屋の窓はすきま風が多くて冬はめちゃくちゃ寒いし。