社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
嫌いな人…、例えそれが家族であったとしても一緒に生活をしていくなんて苦痛になるに違いない。
好き嫌いは仕方ないもん。
唇を噛み締め固まったままの手を引こうとしたら拓斗さんの掌が私の手首を強く掴んだ。
「何故だ?」
ギュッと掴まれた手首が熱く痛い。
「離して、ください」
「離したら逃げるだろ」
それは…、言葉に詰まる私に拓斗さんは続けて言う。
「悪いがそれは無理だ。俺は優子と片時も離れたくはない」
私だって離れたくないよ。
拓斗さんに反抗したくないし今だって胸に飛び込みたい気分。
だけどそれじゃ違う。
拓斗さんをおもって、必死に我慢してこんな風にしてるというのに。