社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
「後でいい」
「えっ」
「今は俺の横に座ってろ…」
片付けなくちゃ、と手を伸ばした私の腕をギュッと掴んだ拓斗さん。
ビックリして思わず拓斗さんから視線をギュッと掴まれている腕へと移動させる。
「悪い。痛かったか?」
「いや、痛くなんて全くないですよ」
痛い訳がない。
だって、掴まれたというより包まれたという方が正しいくらいだから。
拓斗さんは全く力を入れていないもん。
「あの、拓斗さん」
「あぁ」
「……」
「優子?」
拓斗さん、と。
私からそう名前を呼んだのにも関わらず一言も発しない私を見て、拓斗さんは不思議に思ったのか私の髪を梳きながら顔を覗き込んだ。