社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中



拓斗さんの優しく大きな掌が私の頭の天辺から髪へと降りていく。


それは少しだけこそばゆくて、これ以上にないくらいに心地が良い。





「逆効果だな」

「えっ」

「いや、何もない」





いや、何もないって私の耳には拓斗さんの言葉がはっきりと届いた。


けど…


拓斗さんが何もないと言うならその言葉を追及をしようとは思わない。


拓斗さんがそう言うならそうだもん。


何もない事が正しい気がする。





「そろそろ退いた方がいいですか?」

「退く?」

「串田さんが戻ってくる前に…。私がこうして抱き着いていたら串田さんはビックリしちゃいます」





本音を言えばずっとこうしていたい。


でも、串田さんが戻ってくるから…



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