社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
「寒くないか?」
「天気が良くて丁度いいです」
拓斗さんと手を繋ぎながら区役所近くのちょっとした並木道を歩く。
平日の火曜日だという事もあり人は少なく、居たとしてもスーツを着たいかにも仕事中の人ばかりで。
拓斗さんと私の用にゆっくりゆっくり歩く人なんていない。
「この辺りをちゃんと歩くのは初めてかもしれないです」
「そうなのか?」
「歩いたとしても周りをそんなに見てなかったりして…。こんな風には初めてです」
今まで何度も思ってきたのにまた思ってる。
拓斗さんが傍に居てくれるならどんな場所でも私の思い出になる、って。
次ここを歩きでも車でも通る事があればきっと今を思い出す。
「あの、我が儘一ついいですか?」