社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
一歩一歩、ゆっくりゆっくり近付いていく。
トイレまでの道のりが偉く長く感じてしまう。
まさかこんなにも早くこんな気持ちでトイレに行く体験ができるなんて…
今の私はどんな顔しているのかな。
ガチガチに強張っているとか?
それとも今にも泣き出しそうな情けない顔つき??
ドキドキや不安や緊張、それらをほぐすようにも頭をフル回転させる。
それくらい今から私がしようとしてる事は軽くはない、重たく、そして大事な事なんだ。
トイレのドアを開く時もガタガタと手が震えていつもなら片手で開くドアを今日は両手揃えた。
何故だかいつもより小さくトイレマットをじーっと見つめた私は、
「拓斗さん…」
――バタンと音を経てて扉を閉めた。