社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
落ち着け…!
落ち着こう私。
膝の上に妊娠検査薬の箱を乗せ、唇を噛み締めぎゅっと瞼を下ろす。
すーっと、ゆっくり深呼吸をしていると私の頭の中に現れたのは大好きな拓斗さんの顔。
「拓斗さん…」
私の頭の中に現れた拓斗さんは目を細目ながら微笑み、こっちに向かって手を振っていて、
心なしか、拓斗さんは口を開けてこう言った気がする。
‘優子、大丈夫だ。俺がついている’
そんな言葉が聞こえた瞬間に、拓斗さんはパッと消えてしまって私はおろしていた瞼を上げた。
――あっ。
手の震えは止まっていないもののさっきよりはマシで、何かを持つ事は出来るくらいの震え。
これなら…、今なら妊娠検査薬を使える。