社長の旦那と恋煩いの妻(わたし) シリーズ大幅修正加筆中
嘘…、拓斗さんも覚えてくれてたなんて。
ビックリして見上げると、そこには少し口角を上げてた拓斗さんがいた。
「あの時と違うのは緊張しない事くらいだな」
「拓斗さんが緊張ですか?」
「俺だって緊張する。あの時は優子とこれから共していく事を実感してたから余計にな…。それに優子は俺を知らず嫁いできただろ?」
「それはそうですけど。拓斗さんだって私をよく知らないでお嫁さんにしてくれたじゃないですか。同じです」
今思うとかなり無茶苦茶だった私達の結婚。
拓斗さんと私の始まりは何もかも極端で、そして未知だった。
「いや、俺は知ってた。知り尽くしてた訳ではないが少なからず優子よりは知っていた」
ふっと笑い拓斗さんはマグカップをテーブルに置いた。