お仕置きゲーム。


俺の知らないところで、何かが動き始めてる。

取調室から個室へと戻った俺は壁に寄りかかりそのままずるずると座り込む。殺されるのが怖いわけじゃなかった。ただ、啓太と会えなくなるのだと考えると心臓がキリ、と痛んだ。

心臓あたりを服の上からぎゅ、と掴み俯く。



どうして判決がくだされないまま殺されるんだろう。俺がまだ子供だから、公に 子供を処刑 にできないから?全部がわからない。わからないけど、

「どーでもいい。」


そう、どうだっていいンだ。判決がどうとか、どうでもいい。

ただ、ひとつだけ悲しいのは、啓太と離ればなれになること。


「...。」



殺されるはずの俺を、

オンナは逃がしてくれる。



俺は脱走したことになる。そうなれば大がかりな捜査が始まるだろう。このこと、啓太に知られたくない。だって、知ったらアイツ、絶対俺のところに来てくれると思うから。啓太を巻き込みたくない。



「....。」


巻き込まないためにはどうすればいい?

そう考えて、俺は顔をあげた。

「...なんだ、意味ねーじゃん。」


オンナが逃がしてくれたって、いずれ捕まる。そうなれば殺される。死ぬのが早いか遅いかってだけだ。



脱走して、啓太に騒動がバレるより俺が現状を受け入れて殺された方がマシだ。
< 101 / 144 >

この作品をシェア

pagetop