お仕置きゲーム。
「...ゆうき?」
幾分か落ち着いた俺は、オンナから離れて聞き返せば、オンナは目じりに涙をためたまま「私の子供の名前なのよ。」と言った。
「子ども、いたんだな。」
気付けば、脳内に響いていた美紀の声はもう聞こえない。呼吸も正常に戻っている。ほっとした。
俺がオンナの瞳を見れば、彼女は目を伏せて「1人息子だったのよ。」と呟く。
「生きていたら、ちょうどあなたと同じ年齢だと思う。」
「死んだのか。」
遠慮もなしにそう言えば、オンナは頷く。
「自殺しちゃったのよ。」「なんで?」素直に疑問を口にだせば、オンナはぽかんとした表情で俺を見る。
「あなた、そんな表情もできたのね。」「は?」「いっつも、何所を見てるのかわからない、さめたような瞳だったのに、今はちゃんと、私の目を見て話してるわ。」「...。」
自覚なかった。
「やっと、私の事認識してくれたのかしら?」
「ウザい。で、なんで。」
「私の夫が、大きな犯罪を犯したからよ。」
躊躇いもせずに、オンナはそう言った。
「数年前に、まだ幼い女の子を1人殺してしまったの。」
「...え?」
「勿論、夫はすぐに捕まったわ。私の息子の祐樹は、自分の父親が犯罪者だからって学校でイジメを受けるようになって、耐え切れなくなって自殺したの。
私は仕事で中々家に帰れなかったし、ちゃんと祐樹を見ていてあげれなかった。もっと、私がしっかりしていたらこんなことにはならなかったと思う。今更、後悔したって遅いのにね。」