お仕置きゲーム。
衝撃的事実に、驚きを隠せなかった。手に汗が滲む。このオンナの夫が美紀を殺した。あの変態医者が、美紀を殺した犯人の弟。
「っ、」
いや、でも、このオンナは...この人は、関係ない。ずっとずっと苦しんでたに違いない。自分の夫が犯罪を犯して、子どもが自殺して、そして、俺達が狂っていくのを自分の責任だと思い込んで。
ズキン、ズキン。
この時、俺は初めて人の痛みを感じた。
「...うらんで、ない。」
「え?」
「俺達は、あんたのこと恨んでない。きっと、あんたの子供も、恨んでないと思う。」
「...。」
「だから、責任、かんじなくて...いい。」
啓太みたいに、俺は人を気遣うことができない。ぎこちなく言葉を発しながら、この人に想いを伝えると、また、抱き締められた。
「ごめんね、ごめんね。」
何度も謝るこの人の背中を、さっき俺にしてくれたようにリズムよく叩く。
「謝らなくていいよ。俺は、誰も恨んでないから。」
前は、すべてが憎かった。けど、今は違う。
「ありがとう。」
震える声で礼を言うこの人があまりにも儚くて、俺まで泣きそうになった。