お仕置きゲーム。



その時だった。


「思ったより早かったね、アリサ。」


聞き覚えのある声が聞こえて顔をあげると、そこには宇野博隆が怪しい笑みを浮かべて立っていた。

「っ、」


警官は宇野博隆を見て大きく目を見開く。

「担当の警官が戻るまで部屋で暫く待機と命じたはずだろう!見張りの警官はどうしたんだ!」


「アリサ。」


宇野博隆は警官の言葉を無視して、一歩ずつ俺に歩み寄ってくる。ばっくん、ばっくん。心臓がうるさい。...こ、わい。


「アリサ、覚悟はあるかい?」

まるで台本を読むような口調で、目元をうっとりと細めて呟く。俺は震える唇をひらき、声を発した。


「あ、る。まさき、を助けたい。」

少しだけ裏返った声がでたけど、それを聞いた宇野博隆はさらに笑みを深める。異常を感じ取った俺の両側にいた警官2人が俺から離れて宇野博隆を押さえつけようと行動にでた。


宇野博隆はポケットから注射器を取り出すと、素早く警官二人に注射器の針をさし、怪しい液体を注入する。

「..、なに、して、」

やっぱり、この男が改めて怖いと感じた。


「眠ってもらっただけさ。大丈夫、僕も人を殺したくはないからね!」


その場に倒れた警官には目も向けず俺の元に歩み寄ってくる。そして、表情をかえずに俺の手をつかんだ。「ひ、」思わず悲鳴が漏れる。



「さァ、いこうか、アリサ!メグミを助けにね!」


< 110 / 144 >

この作品をシェア

pagetop