お仕置きゲーム。
その時だった。
「思ったより早かったね、アリサ。」
聞き覚えのある声が聞こえて顔をあげると、そこには宇野博隆が怪しい笑みを浮かべて立っていた。
「っ、」
警官は宇野博隆を見て大きく目を見開く。
「担当の警官が戻るまで部屋で暫く待機と命じたはずだろう!見張りの警官はどうしたんだ!」
「アリサ。」
宇野博隆は警官の言葉を無視して、一歩ずつ俺に歩み寄ってくる。ばっくん、ばっくん。心臓がうるさい。...こ、わい。
「アリサ、覚悟はあるかい?」
まるで台本を読むような口調で、目元をうっとりと細めて呟く。俺は震える唇をひらき、声を発した。
「あ、る。まさき、を助けたい。」
少しだけ裏返った声がでたけど、それを聞いた宇野博隆はさらに笑みを深める。異常を感じ取った俺の両側にいた警官2人が俺から離れて宇野博隆を押さえつけようと行動にでた。
宇野博隆はポケットから注射器を取り出すと、素早く警官二人に注射器の針をさし、怪しい液体を注入する。
「..、なに、して、」
やっぱり、この男が改めて怖いと感じた。
「眠ってもらっただけさ。大丈夫、僕も人を殺したくはないからね!」
その場に倒れた警官には目も向けず俺の元に歩み寄ってくる。そして、表情をかえずに俺の手をつかんだ。「ひ、」思わず悲鳴が漏れる。
「さァ、いこうか、アリサ!メグミを助けにね!」