お仕置きゲーム。


車に乗り込もうとしたときだった。


「そこまでだ。」


低い声音が響いた。その言葉を合図に、俺達を囲むようにどこからともなく警官が現れる。知らぬ間に包囲されていたらしい。

オンナは目を見開く。

「いつのまに、」

「佐藤真咲をこちらに引き渡してください。そうしていただければ、あなたのことは見逃してさしあげます。」

オンナはぎゅ、と唇をかみしめた。どう、しよう。俺のせいでこの人を巻き込みたくない。俺がころされれば、すべてまるくおさまるんだ。


俺はするりとオンナの手をほどくと、一歩ずつ警官に歩み寄っていく。慌てて駆け寄ろうとしたオンナに、まわりから銃が向けられた。

「ッ、真咲君!」

オンナが俺の名前を叫ぶ。



「俺が死ねば、いいンだろ?」


口元をつりあげてそう言えば、警官は頷く。

「...ああ。」


警官は無表情で返事をした。


「わかった。俺、死ぬからさ、」

だから、あの女の人には手をださないでね?

厭らしく微笑めば警官はうっすらと頬を赤くそめて「約束しよう。」と言う。それを聞いたオンナは顔を真っ青にさせていた。


「また、私のせいで、子どもが死ぬの、?」


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