お仕置きゲーム。
博隆は言い返さず、窓の外に視線を向けたまま笑みを浮かべている。そんな弟を見て不気味に思った兄は舌打ちして出て行った。
「3年前、僕の両親は死んだ。学校帰りに歩いていたら、トラックが突っ込んできたんだ。その時偶然買い物帰りで歩いていた母さんと居合わせ、母さんは僕を突き飛ばしてトラックから護ってくれた。」
誰にいうわけでもなく、無感情で言葉を発する。
「これまた偶然にそれを見ていた仕事帰りの父さんが、母さんを護ろうと勇敢にも登場したのさ!しかし今度はうまくいかなかった!二人ともトラックにはねられ死んだってわけ。可笑しいだろう?全部僕のせいなんだってさ。」
机の上におかれた、お仕置き少女メグミのフィギュアの頭を優しくなでる。
「まあ、そんなのどうでもいいんだけどね。
僕にはメグミがいればいいんだから。」
窓の外にいる男の子を愛おしそうな目で見つめた。
「ああ、こうしちゃいられないよ!メグミがいるんだ!メグミと話してこなきゃ!」
博隆は突然立ち上がると、部屋を出た。階段を降りると、最近結婚した兄とその妻が真剣な表情で何かを話し合っている。興味がなかった博隆は見向きもせずに家をでて、近くの公園に向かった。