お仕置きゲーム。




するりと啓太の頬を撫でれば、言葉を失ったらしい。驚愕した様子で俺を見る。




「啓太がいろんな話聞かせてくれるの、楽しみにしてるからさ。」



「ッ、真咲、行くな、」


首を左右に振る。俺の瞳からも涙が溢れた。




「生まれてきてくれて、俺と出会ってくれて、ありがとう。」



「真咲、嫌、だ。何、しようとして、」


バァン!バァン!

警察がドアを開こうとしている音が響く。



「何も聞こえなくなるまで、絶対押入れから出るなよ。」


その台詞を言った後、俺の脳内に昔犯罪を犯した父親の姿が浮かんだ。自嘲しそうになる。

「俺も一緒に、「来るな。」

低い声音で強く言えば啓太は口を閉じる。


バァン!


部屋のドアが開いた。

俺は最後に啓太の目を真っ直ぐみて、笑顔で告げた。





「啓太、すっげーあいしてる。」



啓太が何かを言う前に、押入れの扉をしめる。

そして入ってきた警官を見て、俺は表情をつくり口元を釣り上げた。






「...悪い子には、お仕置きしなきゃ。」










END
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