お仕置きゲーム。


「智香、」

とある病室にて。

やせ細った父親が、愛しい子供の名前をつぶやいた。

「僕にかかれば大丈夫さ」

「本当だろうな?お前が言った通りに佐藤真咲を殺すように部下に命じたんだ。莫大な金も払った。…生き返らせなければどうなるか、わかっているな?」

「大丈夫。僕のシナリオに不可能はないさ。」

「…信じられない。」

「信じなくていいよ。僕はメグミの運命を支配したいだけだからね!ああ、メグミ、智香の墓にはいっているのは違う子供だとわかったとき、君はどういう反応をするんだろう!楽しみだよ!」

その言葉を聞き、子供の父親は嫌悪感をまるだしにした表情を浮かべ、医者を睨んだ。医者は笑みを浮かべて、めぐみ、めぐみ、とつぶやいている。

(きもちわるい)

「…?」


ふと、違和感がちくりと胸をさした。佐藤真咲は警察に殺されて死んだはずだ。なのに目の前の医者はまるで生きているかのように話している。

「…佐藤真咲は、死んだはずだろう?」

疑問を口にすれば、医者は即答した。

「生きてるよ。」

言い放った医者をみて、父親は目を見開く。




「お仕置き少女は、

終わっちゃいけないんだ。」


「…どういう、事だ、」

「そのままの意味だよ」

医者は笑みを浮かべ、向かい側のベッドの仕切りのカーテンを開けた。父親はベッドで眠る傷だらけの少年を見て驚愕した。医者は少年に近づくと、彼の頭を優しく撫で、頬に口付ける。



「…あいしてる、メグミ。」





→あとがき
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