お仕置きゲーム。
特にすることもなく、ぼうっと窓の外を眺めているとコンコンとノック音がした。入口に視線を向けると看護婦が食事を運んでくる。「真咲ちゃん、夕飯の時間ですよ。」にっこりと人の良い笑みを浮かべながら看護婦は入ってきた。ベッドについているテーブルの上に病人食を置いていく。
「...。」
マズそうだと思った。食べたくない。まだ他の病室に食事を運ばなければいけないのか、少し慌てた様子で背を向けた看護婦を呼び止める。
「ねえ。」
「ん?どうかしました?」
「コンビニの弁当食べたい。」「だめですよ。今日は我慢してくださいね、コンビニのお弁当は身体に悪いんですよー。」その言葉を聞き、俺は鼻で笑った。誰かが作った、温かいモノなんて今まで食べた事がないからだ。
唯一温かいものと言えば、小学校の時の給食ぐらいか。けど、所詮給食も誰が何を作ってるのかわからない。知らないババアが給食を作るという仕事をしているだけ。誰かを想って作るわけでもない。全部、シゴトなんだ。
全部、ぜんぶ仕事。しょうがなくしているだけ。誰かを想ってしてるんじゃない。生きていくのには金が必要だから、働く。したくてしてるわけじゃない。
「ワカッタ。」
「?うん、明日迎えが来たらお母さんやお父さんに美味しいもの作ってもらってね。」
冷めたような視線を看護婦に向け、「ウン、そうするよ。」と心にもない言葉を並べる。
ああ、反吐がでる。
(...マサキ)
「...んだよ。」
(食べよう。お腹すいてるよ。)
「こんなマズいもん食えるかよ。」味気ない、温かくもない、冷たくもない、なまぬるい食べ物。(...マサキ、食べなきゃ)「だから今腹へってねェんだよ。」
売店で何か買おうにも、金がない。「...。」(マサキ。)
「...。」
その時、腹がきゅう、と鳴った。