お仕置きゲーム。
「テ、メェ。」「真咲、やっと、自分が男の子だって気づいたのね。やっと、やっと男の子に戻ったのね。」「調子にのンじゃねぇ!」
智香が更にキスしようと顔を近づけてくる。それを振り払い、俺はコイツを蹴り飛ばした。ゴ、と鈍い音がする。(マ、サキ。)「痛い、いたいよ真咲。」「真咲に触れていいのは俺だけだ。」「何、言ってるの?真咲。」「全部、俺のものだ。」「真咲。」「その名前を呼ぶな!」
ああ、苛々する。ブチ壊したい、コイツを滅茶苦茶にしたい。(...マサキ。大丈夫。私は名前を呼ばれても、キスされても、マサキのものだから)「...。」気に入らない。ウゼぇ。
「真咲、覚えてる?昔、真咲と美紀と、啓太くんと、4人でよく鬼ごっこして遊んでたよね。」「...。」「真咲、じゃんけん弱くて、いつも鬼だった。」「...。」「楽しかったなぁ。あの時は。」「...何が言いたいんだよ。」
「真咲、ごめんね。」「は?」「私のせいで、可笑しくなっちゃったんだよね。本当は男の子なのに、女の子になっちゃったの、全部、私のせいでしょ?」
「しらねェよ。俺は、そーいうのどうでもいい。」
「...まさき?」
「俺は、真咲がいれば、真咲を愛せればそれでいいんだよ。」
そういうと、コイツは無表情で俺を見た。まるで絶望したような面だった。鼻で笑えば、今度は声をあげて泣き出す。ほんと、女とか男とか、トモダチとかめんどくさい。
(マサキ。)「何。」(智香は親友なの。大事な大事な親友、悲しませないで。)「...っ、チ」
舌打ちしてから、しょうがなく智香の頭を乱暴に撫でる。「泣くな、ウゼェな。」全く感情はこもっていない。なのに智香は泣くのをやめて、笑う。「...まざぎ。」すん、と鼻をすすって俺の名前を呟いた。
(やさしくしてあげて。)
「...ハイハイ。」
はぁ、とため息をついてから俺は智香の目を乱暴に袖でゴシゴシとふいた。「絶対、泣くなよ。泣くと真咲が悲しむ。」「、う、ん。泣かない。」「うん、いいこ。」