お仕置きゲーム。


「みんな、元気ですね。」「ええ。これも全部啓太君のおかげなのよ。あ、そういえば真咲ちゃん啓太君のこと知ってるの?」「はい。幼馴染なんです。小さい頃、良く遊んでました。」「へえ、偶然ってあるのね。」

追いかけっこをしている啓太をみて、先生は苦笑した。


「あ、真咲ちゃんの部屋に案内するわね。2人1部屋なんだけどいいかしら?」「はい。」「優子ちゃんっていう女の子と同室「は?真咲は俺と一緒の部屋でいーじゃん!」

先生の言葉を遮り、啓太は言う。「だって、真咲ちゃんは女の子なのよ?」あなたは男の子。と先生は呆れたように言う。その発言に啓太はびっくりしたように目を見開く。

「こいつが、女ぁ?」

啓太は大声で笑った。「とにかく、真咲は俺と一緒の部屋!」「あ、ちょっと啓太君!」「幼馴染の俺と一緒のほうが真咲もきっと楽だと思うしー。」「待ちなさい!」

先生の言葉を無視し、啓太は私の腕を引っ張り走り出す。それをみて子供達は「かけおちー!」とはやしたてた。(...)私のナカのマサキは、無言だった。

...マサキ、怒らないでよ。(...。)

はあ、と啓太にばれないようにため息をつく。


「ここが俺の部屋!」「啓太は1人で部屋を使ってるの?」「うん。こないだまで2人だったんだけど、相方は新しい家族のところに行ったから今は1人。」「新しい家族?」「里親。」「あ、そうなんだ。」


部屋のなかに入る。部屋には必要最低限のもの以外何もなかった。殺風景だなあ、と思いながら啓太に視線をうつせば「あ。」と声をだす。


「そういえば、なんで真咲はココに来たんだ?」

それなりの理由があるはずだろ?と言う。

「...お父さんが死ん、(真咲)居なくなっちゃったから、ここに預けられたんだと思う。」

お父さんが死んだことは、私以外知らないから簡単に言っちゃだめだ。マサキに呼ばれて気づき、言いなおした。

「なるほど。お前ん家父子家庭だったもんな。」「うん。啓太はなんで?」「虐待受けて、保護されてここに連れてこられた。」「虐待!?」


「うん。父さんが仕事クビになって、酒に溺れて、俺と母さんに暴力ふるうようになったんだ。たえきれなくなって母さんは俺を置いて自殺。父さん、さらにイカれて俺をボッコボコにするようになって、死にかけてたところ保護された。」

ありがちだろ?と笑う啓太を見て、目を見開く。何も知らなかった。


(...啓太。)


マサキが、彼の名前を呟く。
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