お仕置きゲーム。
皆からの質問に答え終え、雑談していた時にハッとしたように啓太は私を見る。
「あ、真咲、お前昼飯まだだよな?」
「あ、そういえば。」「昼食は12時から14時の間に食べなきゃ駄目なんだ。朝は6時から8時。夜は18時から21時。時間過ぎるともらえないから気をつけろよー。」
ちらりと時計を見れば14時過ぎていた。食堂のおばちゃんは仕事を終えて何処かに行ってしまったらしい。
「啓太はもう食べた?」「おう。」「そっかー、コンビニ行こうかな。」
ここに来る前に、少しだけお小遣いをもらった事を思い出しそう言えば啓太は「そこにすわれよ!」と言う。
不思議に思いながら席につくと、彼は勝手にキッチンに立った。「啓太兄、また先生に怒られるよ?」見ていた子供達がそういうが、「きにしないきにしない。」と笑う。
冷蔵庫からかってに材料を取り出し、何かを作っている。いい匂いが広がった。あ、そういえば今日朝食も食べてなかった。くう、とお腹が鳴る。
「はい、どーぞ。」「え?」目の前に置かれたチャーハンを見て目を開く。「?食べろよ。」(...。)「え、これ、だれの?」「は?お前の為につくったんだけど。俺、昔から家事させられてたから料理得意なんだ。」
へへ、と照れたように笑う啓太を思わず凝視してしまう。温かい、料理。誰かが、仕事とかじゃなく、私の為に作ったもの。マサキ、マサキ。聞いてる?
(...うん。)
おそるおそるスプーンを持ち一口、口に運んだ。
「おいひい、」ツー、と涙が頬を伝う。「え、な、なんで泣いてんの!?」鼻がツン、と痛くなった。「ん、ぐ。」必死に噛んで飲み込むと胸の奥がぽかぽかする。冷たくもなく、ぬるくもない、とても心地いい、あったかい。
マサキ、これ、あったかいよ。美味しいよ。
(...そう、だな。)
私のナカでマサキも泣いていた。理由はわからないけど、涙腺が壊れたようにボロボロと涙がこぼれる。
この日、啓太がつくってくれたご飯は今まで生きてきたなかで一番おいしく感じた。大げさかもしれないけど、本当だよ。