お仕置きゲーム。
全身が震えた。冷や汗が更に流れる。「女の人が言ってること、ほんと?」マサキ、わたし、どうしよう。この空間から逃げたくてドアノブを後ろ手でまわすが、焦っているせいで上手くいかない。「真咲ちゃん?」怖い。私が、智香ちゃんを、ころし、(お前は何もしてねェよ)
低い声が響いた。(大丈夫、俺に任せろ。)にやり、マサキが笑う。(壊してやるよ。)刹那、意識が遠のいた。ふわふわする。
「何言ってンだよ。俺がころした?笑わせんな。」
マサキ、マサキ。また、私はただの傍観者。彼にすべてを任せるしかないんだ。ごめんね、マサキ。「あなたがお姉ちゃんを殺したのね。」「黙れよ。」「教えてくれたもん!女の人が泣いてるもん!」じわり。侑里乃ちゃんの瞳に涙が浮かぶ。
「イカれた餓鬼にはお仕置きが必要だな。」にやりと笑う。「女の人が泣いてる。」「黙れ。」一歩ずつ、距離を縮めていく。侑里乃ちゃんは全く動じず真っ直ぐとマサキを見ている。
「ごめんなさいって、言ってるよ。」「黙れって言ってるだろ。」「ッ、ねえ、なんでころしたの!?」「黙れ!!」「かえしてよ!おねえちゃんをかえして!」「...。」マサキは侑里乃ちゃんの首をしめた。徐々に力をいれていく。「潰す。」
侑里乃ちゃんは苦しそうに顔を歪めた。声をだすこともままならないらしい。ギリ、さらに力をいれたときだった。
がちゃり「真咲ー、宿題おしえ、...ッ!?おい、何してんだよ!!」ノックなしに入ってきた啓太は目を見開き、叫ぶ。首をしめつづけるマサキを侑里乃ちゃんからむりやり引き離すと、マサキの両肩を掴んだ。
「今、何してたんだよ。」「...。」「答えろよ、真咲!」「何って、ナニ?」何もうつさない、虚ろな瞳で啓太を見る。
壊れた笑みを浮かべるマサキを見て恐怖を抱いたのか、首を絞められたことがそんなに怖かったのか、侑里乃ちゃんは声にならない悲鳴をあげた。
一方、啓太はそんなマサキを見ても動じなかった。真っ直ぐとマサキの目を見て、口を開く。
「やっていいことと、悪い事があるんだぞ。」
「何ソレ。俺は、イカれたこいつにお仕置きしてただけだよ。だってさ、こいつ真咲を苛めるんだぜ。変な事いって、混乱させてくるの。そんなの、俺が許すわけねェじゃん。」
「真咲、お前一体、」「どうしたのっていいてェの?」「...ああ。」「俺は、真咲の正義のヒーローなの。だから真咲を悲しませるモノ全部壊してンの。わかる?...ああ、啓太にはわかんねェよな。だってお前、皆から愛されてるもんな。」