お仕置きゲーム。



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は、と目を開くと啓太の顔が視界に入った。「大丈夫か?」心配そうに表情を歪めて俺を見てくるソイツを見て、冷や汗が流れる。「ここ、は。」「施設の医務室!お前あの後急に倒れて、俺が運んだ。あ、侑里乃は無事だから心配すんな。ってか大丈夫か?顔真っ青だぜ?」「...あ、あぁ。」体を起こしながらそう言えば、啓太は安心したように笑う。


「さっきのことは先生には秘密な。バレるといろいろ煩いから。」「...。」さっきのこと、と聞いて俺が侑里乃にお仕置きをしようとしていたことだとすぐに理解した。本当にお人よしだと思った。ほんと、「ばかじゃねーの。」なんで、言わないんだよ。言えば、俺は晴れて牢獄いき。お前らはお仕置きにおびえる事なく、幸せに暮らせるのに。そう考えて、俺は動きを止めた。


なんで、俺、罪悪感感じてんの?胸の奥がズキズキ痛む。お仕置きは、悪い事じゃない。真咲を悪から護るためにしてきたことだろ。俺は何も悪くない。俺は正義のヒーローなンだろ?自問自答を繰り返す。


「へへ。」「...何、笑ってンだよ。」「俺さー、今すっげー嬉しいんだ。」「...。」「お前が、俺を頼ってくれたから。」「...頼って、ねェよ。」「照れるなって真咲!願いどおり、俺が助けてやるからさ!」ああ、どうして。どうしてコイツは、俺をこんなに混乱させるんだ。無意識にシーツを握る手に力がこもる。(マサキ、)ふと、ナカから真咲の声が聞こえた。(マサキ)俺、真咲を救いたい。真咲を護りたい。真咲を愛してる。真咲が俺をよんでる。


いつものように、笑わなきゃ。笑え、マサキ。


にやり、と口元を緩め俺は「わかってるよ。」と低く呟こうとしたとき、啓太が「あ、そういえばさ、」と話だし、何かを俺の前に突き出してきた。




「はいコレ。お前寝てたから夕飯食い損ねただろ。」


目の前にあるのは、温かい、手作りの食べ物だった。じわり。止まったはずの涙が浮かぶ。どうして、どうして、どうしてコイツは、啓太は。

こらえきれない。さっき、あの空間で誓ったのに、こうも簡単にコイツの言動に左右されてしまう。

「ッ、ひっく、」

「ま、真咲?」

「ぅぁ、ぁああああぁぁ!!」



大声をあげて俺は泣いてしまった。どうして泣いてるのかわからない。悲しい?寂しい?苦しい?今の俺には、どの感情もあてはまらない。ねえ、教えてよ。この気持ちは、何?


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