お仕置きゲーム。
嫌じゃなかったからそのまま逃げてたら、後ろから「まてー!」という声が聞こえた。やばい、と思い俺が2人を引っ張るような形で逃げていた時だった。
「あっ、」
どんっ、
急には止まれなくて、目の前にいた男の人にぶつかってしまう。「ごめんなさ、」咄嗟に謝ると男の人は「ああ、ちょっと痛いなあ」と言った。それを聞いた美紀が「ごめんなさい。」と震えた声で謝る。「ちょっと骨折れちゃったかな。」
男の人は笑った。それを聞いた智香は顔を青くして俺の手を強く握った。
「どうしたんだ?」様子が可笑しい俺達に気づき、追いついた啓太は問う。「骨、おれちゃったんだって。」「はあ?」「どうしよう、啓太くん。」「おじさん、それ本当?」「ああ、痛いよ。」
馬鹿らしい。ぶつかったくらいで骨おれるわけないだろ。まあ、ぶつかったのは俺だから悪いとはおもうけど。
そう考えていると、男の人は「君達にお願いがあるんだ。」と言ってきた。警戒心まるだしな俺をみて微笑んだあと、持っていた袋からスナック菓子を人数分取り出す。
「骨が折れて痛いから、これ、家まで運べないとおもうんだ。良かったら食べてくれないかい?」
俺達は顔を見合わせた。ちょっと怪しいけど、悪い人ではなさそう。「おじさんありがとうな!」啓太は笑顔でお菓子を受け取った。それにつられるように俺達も貰う。
「あ、そうそう。おじさんの家、この公園の隣なんだけど良かったら家の前までついてきてくれないかな?」「でも、知らない人にはついて行くなって言われてるからなあ。」啓太は早速お菓子の袋をあける。
「え?おじさんは知らない人、じゃないよ?こうして今話してる時点で知り合い、だろう?」「…」
確かに、そういわれてみれば…。俺達は顔を見合わせて頷きあった。家が公園のとなりなら近いし大丈夫だろう。「分かった。」啓太が代表で返事をした。
「なら、2人、ついてきてくれる?」「何で2人なんだ?」「おじさんについてきてる時に、お母さんがむかえに来たらどうするんだい?皆いなくなってちゃびっくりするだろう?」
確かにそうだ。公園にある時計をみれば4時半をさしていた。そろそろむかえにくる時間だ。
「わかった!なら誰がついてく?」
「ああ、そこの髪の長い女の子と可愛い顔した男の子に頼めないかな?」
選ばれたのは、俺と美紀だった。