お仕置きゲーム。

悲しいヒーロー(過去 啓太視点)



*啓太視点


美紀の葬式で、号泣した。美紀が死んだこと、棺桶でねむる美紀をみるまで実感がわかなかった。俺の隣で智香は大声をあげて泣いた。けど、その隣にいた真咲はまっすぐと美紀を見ていた。無表情で、怖い。俺には人形みたいに見えた。

数本の花を、美紀がねむる棺桶のなかにいれてやる。

あの時、俺がお菓子を受け取らなければよかったのかもしれない。

俺が、2人を止めていればよかったのかもしれない。

今更後悔しても遅いが、罪悪感が幼い俺の心を締め付ける。

俺は4人で遊ぶ時間が好きだった。もっと遊びたかった。それに、俺は、美紀のことが好きだった。

「ごめん、ごめんな、美紀。」

謝っても謝っても、足りない。美紀は返事をしてくれない。ぐずぐずと泣いている俺を見た真咲は、無表情で俺のそばまで来て、頭を撫でてくれた。

「啓太、大丈夫だ。」「...ま、ざぎ。」「美紀は生きてる。」

訳がわからなかった。美紀が生きてる?そんなはずはない。だって、目の前に死体があるんだから。「どういう、」どういう意味?と問おうとして、俺はやめた。

真咲が、眠る美紀を見て優しく微笑んだからだ。

(...真咲が可笑しい。)初めて真咲の違和感に気付いたのはこのときだった。



__________

_______

___



そして約2年が経った。美紀の家族は遠くに引っ越したらしい。詳しいことは知らない。聞こうとも思わなかった。

無事卒園した俺は小学校に通っていた。真咲とはクラスは違うけど、放課後になれば智香も交えて3人で遊んでいた。






< 52 / 144 >

この作品をシェア

pagetop