お仕置きゲーム。
私は今まで美紀に憧れて、美紀と同じように黒髪を伸ばしていた。ちいさいころ、お揃いだね、なんて言って2人で笑い合っていた。真咲の好きな人が美紀だって気付いてから、なおさら美紀のようになりたくて彼女を目指していた。
けど、美紀はもういない。真咲は過去にとらわれているせいで、変わってしまった。(美紀、しんでからも真咲のこころをうばうの?)そう思った直後、なんだか可笑しくなって笑いそうになった。
だって、真咲だけじゃない。きっとあたしもこころを奪われてる。
真咲を救えるのは美紀しかいないって思ってたからかもしれない。けど、それじゃ駄目なんだって気づいた。
美紀はもういないんだ。だから、過去を受け止めて変わらなきゃいけない。まずはあたしが変わらなきゃ。あたしはあたしとして真咲を支えたい。
「智香、本当にいいの?」
美容師のお母さんがあたしの髪を撫でながら聞いてきた。「うん。」「そこまでいうならわかったわ。切った後に文句言わないでよ?」「わかってるわよ。」
だんだんと短くなっていく髪。美紀からかけ離れていく自分。無意識に拳をぎゅっと握りしめていた。
暫くして出来上がった髪型を見て、私は表情が緩んだ。「ありがとうお母さん。」「小学生が茶髪なんて、不良ねぇ。」「とか言いながら、駄目って言わなかったよね。」「...智香の事だからきっと考えがあるんでしょう?」「まあね!」
鏡にうつった自分は、まるで別人だった。肩より短くなり、茶色に染まった髪。そんなあたしをみてお母さんは呆れた様に笑ったあと、頑張りなさいよ。と言った。
「うんっ!」