お仕置きゲーム。


「...かえさなきゃ。」

そう、美紀を返さなきゃ。護らなきゃ。だって俺は美紀を愛してるから。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめん、美紀。


ガラ。

父さんが押入れの扉を開き、俺を冷たい目で見た。「父さんは裏山にシゴトをしに行ってくるよ。この事は誰にもいってはいけないよ。」俺はふと、倒れている女の人に視線をむけた。女の人の体は、オジサンに殺された後の美紀そっくりだった。




「真咲、わかったな?」

父さんの言葉に小さく頷けば、汚れた手で俺の頭を撫でた。

「イイコダ、マサキ。」



父さんが女の人をひきずって出て行った後、俺はもう一度目を綴じた。


___まさき。


「...美紀、」

先程よりもはっきりと聞こえる美紀の声は俺を呼んでいる。返事をすると、俺のナカの美紀は笑った。

___美紀じゃないよ。だって、カラダは真咲のだもん。だから、私は真咲だね。


「...真咲。」

__ねえ、真咲。私に真咲を頂戴?真咲は私を二度も見殺しにしたんだから、それくらいいいよね?

「...うん。」

__私、今日から真咲になる!

「おれは、お前を、護るよ。」

俺のナカの美紀...違う、真咲は誰にも殺させない。俺が護らなきゃいけない。


__えへへ、ありがとう!すきだよマサキ。


「おれも好きだよ。」


俺のナカに生まれた美紀の人格は、この日、真咲になった。美紀の人格に体を譲った俺は、マサキとして、真咲を愛し護ることを誓った。

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