お仕置きゲーム。
(マサキ。)
「啓太。」
「どうしたんだよ。」
「啓太、けいた、けいた、」
(マサキ。)
「けい、た。」
お仕置き、しなきゃ。
にやり。
俺は再び口元をつりあげる。
「…真咲、お前っ…なんで、包丁持ってんだよ…」
「なんで?ンなの決まってンだろ?」
「まさ、き?落ち着こうぜ、な?」
ゆっくりと啓太に近づいていく。そんな俺を見ている真咲は嬉しそうに、安心したように微笑んだ。
(マサキ、あいしてる。)
「俺は、」
啓太を壁に追い込み、表情を崩さず薄く口を開いた。
「美紀を、あいしてた。」
(マサキ…?)
「啓太、ありがとう。」
「っ、真咲、」
「だいすき。」
刹那、俺は自分の体に包丁をつきたて、思い切り刺した。激痛が体を襲う。けど、どこか安心している自分がいた。脳内に響く美紀の悲鳴。
美紀にお仕置きを頼んだ俺が間違ってたんだ。俺が終わらせなきゃ何も変わらない。
「…真咲!真咲っ!ふざけんなよ!真咲!」
だんだんと遠くなっていく声を聞きながら、俺は瞼をゆっくりおろしていく。
「っ、真咲、まさき、俺もすきだよ!だから、死ぬな!!」
最後に聞こえた言葉。
俺は微笑み、意識を手放した。