お仕置きゲーム。
思わぬ言葉に強い衝撃が俺を襲った。止まったはずの涙が流れ出す。
「ッ、」
智香は振り返り、優しい笑みを浮かべる。
「真咲、ちゃんと前を向いて。あなたは美紀じゃないでしょ?」
そう、俺は美紀じゃない。智香の言葉を頭のなかで繰り返し呟く。
「俺が、真咲。」
「そう、あなたは真咲。」
包丁を持ち歩み寄ってきていた美紀の姿をした真咲は悲鳴をあげる。「イタイ!マサキ、痛いよ!!私を消さないで!殺さないで!」
「...美紀、」
もう一度体を起こそうとして力をこめると、今度は動くことができた。なんとか立ち上がり一歩ずつ悲鳴をあげる美紀(真咲)に近づいていく。
智香の横を通り過ぎる時、智香は俺の腕を握った。
「...行っちゃだめよ。」
「智香。」
「...。」
「ごめん。」
誤って許されるようなことじゃない。けど、謝らずにはいられなかった。
「それと、有難う。」
茫然とする智香の横を通り過ぎ悲鳴をあげる美紀に近づいた。そして、そのまま優しく抱きしめる。突然の行為に驚いた美紀は悲鳴をあげるのをやめ、目をまるくさせる。
「美紀、ごめんな。」
「ッ、マ、サ、キ。」
抱きしめる腕に力をこめた。