お仕置きゲーム。


「真咲は俺のかわりに、いっぱい辛い思いしてきたよな。」「マサ、...キ」「真咲、俺を愛してくれて、護ろうとしてくれてありがとう。」

真咲は俺が生み出したもう一人の俺。俺を護るために、俺のかわりに苦痛に耐えてきた存在。現実から目を背けた俺のすべてを受け止め、愛してくれたたった1人の大事な女の子。


「でも俺、もう、大丈夫だから。ちゃんと前を向いて、償いたいんだ。」

「マサキ。」

「愛してた、真咲。俺達、別れよう。」

はっきりと想いを告げると、真咲は腕の中でふ、と笑った。


「...馬鹿マサキ。」


包丁を手から落し、真咲はぎゅ、と俺にしがみつくように抱き着く。


「過去は変えられないけど、未来は変えられるんだよ。」

「...真咲?」

俺は抱きしめていた真咲から離れ、彼女を真っ直ぐ見る。目の前の彼女は真咲じゃなかった。正真正銘の、美紀。

「もう私は真咲じゃない。真咲はきみだよ。」

「、美紀。」

「私の...ううん、私達のぶんまで生きなきゃ怒るからね。」

いつのまにか、美紀の横に智香が並んでいた。


「それに、私は真咲を恨んだことなんて一度もないんだよ?」

「っ、」


「真咲は、私を見殺しになんてしてない。ちゃんと助けてくれた。」

そんなわけない。だって俺は、あの時あの部屋から逃げ出した。

「助けを呼んでくれた。それだけでじゅうぶんだよ!」

「ッ、美紀、」


いまだに涙をながす俺をみて、美紀と智香は顔を見合わせてから困ったように笑った。



「...真咲、」

「早く目を覚ましてあげて!啓太、泣いてるよ?」




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