お仕置きゲーム。
「来なさい!」
先生は無理やり腕を引っ張った。「離せよババア。」所詮は大人と子供。力にかなうはずがなくそのまま引きずられるように教室を後にした。その様子をぼうっと内部から見ていた私はマサキに声をかける。しかしマサキは私を無視した。はじめて無視された。
ガラ、
先生は乱暴に保健室の扉をあけると、中へマサキを突き飛ばした。「てめえ」「っ、先生ね、知ってるのよ。」「あァ?」「悪いこにはお仕置きしなきゃ。」
保健室の先生は出張でいない。先生は後ろ手で鍵を閉めると狂ったような笑顔を浮かべた。ひた、ひた、と一歩ずつ近づいてくる彼女は恐怖でしかなかった。私が内心怯えているとマサキが笑う。
「何が可笑しいの?」
「全部に決まってンだろ。」
(マサキ。)「真咲、お仕置きの時間だ。」(え?)「全部ブチ壊してやるから。」やだよ、だめだよ。お願い、私が取り乱したから悪いの。全部私が悪いの。
「なんで?真咲はお仕置きが好きなんだろ?」
そんなわけ、ない。「だからさっき、教室で過呼吸になったンじゃねーの?」マサキは逃げられないように、入口の前へと移動した。
「もう、お仕置きをする父親がいないから、俺を呼び出すキッカケを失ったから悲しいんだろ。」
マサキは当たり前のように告げた。私の気持ちを簡単に読み取り、馬鹿にしたような笑みを浮かべる。
「大丈夫。俺がお仕置きしてやるから。終わったあとは、裏山だろ?」
先生はマサキに向かって何かを叫んでいる。しかし私の耳には届かない。マサキは保健室に置いてあった薬品を手にとり投げつけた。ァ、ァ。小さい悲鳴がもれる。私は怖くて目を開く事ができなかった。「で?ナニ知ってんだよババア。」「痛い、イタイ、ァ、」「よえーな。まあいいか。てめえが何知ろうが関係ねェし。」
マサキはあらかじめ保健室に置いておいた包丁を手にとり、構えた。昨日、父親をコロシタ凶器。「偶然、保健室のセンセが出張で良カッター。」
マサキ、
「真咲、これ終わったら俺と付き合って。」